翻訳森林


コメントする

桑田佳祐の母音と外国語会話

毎朝テレビから桑田佳祐さんの曲「若い広場」が流れてきます。今期の朝ドラの主題歌なのです。

終盤の歌詞が、耳で聞いていたときは

「希望に燃える声の 歌」だと思っていたら、

「希望に燃える 恋の歌」でした。

 ◆

最近私は中国語の発音のことばかり考えているので、歌を聴いていても自然とその発音に注意を傾けています。

桑田佳祐さんの歌い方は、ご存知のように独特な節回しと独特な発音が特徴です。

よく聞いていると、「と」の母音の舌の位置が規範的な「お」より前だったり、「り」の母音の舌の位置が規範的な「い」より後ろで低かったり、ほぼすべての音でそんないろいろな響きがあります。

でも、ちゃんと日本語として「と」や「り」やその他の発音に聞こえるのは、たとえ位置がずれていたとしても母音が「お」や「い」として認識される許容範囲内に収まっているから。

それと、前後の発音から類推して、なんという単語を発音しているのかが大体分かるから、聞き手の脳内で補正される。

さきほどの「希望に燃える声の 歌」と「希望に燃える 恋の歌」では、どちらの解釈もありえたので、自分が思い込んだほうの発音に引き付けて聞き取ってしまったんですね。

  ◆

外国語を話すときは、いわゆるきれいな、規範的とされる発音でなくても、円滑なコミュニケーションを図ることは可能です。ある音として認識される許容範囲と、聞き手の脳内補正があるから。

なんだけれども、細かいところでは、「声の歌」と「恋の歌」みたいに、相手が間違って補正してしまう場合もあるので、注意は必要ですね、と発音講師っぽいコメントで〆とします。


コメントする

講師が知っていること

5年ほど前からピアノを習っています。
今月末に年1回の発表会があるので、最近は今年の曲を一生懸命練習しています。

とはいえ、週に最大15時間の貴重な仕事時間が、ただでさえ何だかんだで減ってしまう中から毎日10分程度をピアノに振り向けているだけなので、なかなか上達しません。

2週間に1回のレッスンを受けに行く度に、前回から今回までほんのちょっとしか進歩していないなあ、と自覚しています。

 

でも、なんかね。
先生の気持ちが分かるようになったんです。

 

今年、中国語の発音矯正を受けたいと言ってくださる方とのご縁をいただいて、久々に中国語レッスンを再開しました。

中国語の発音矯正なら、私は得意分野ですから、受講生さんの抱えている課題と、その課題が全体の中のどこに位置しているか、それを解決するにはどうしたらいいか、そういうことが分かります。

全体を見通した上で、1ステップずつトレーニングを積み上げていく。

そのためのアドバイスをする。

 

きっとね、私のピアノの先生も、そういうことをしてくださってるんだなあ、と、遅まきながら気がついたんです。

 

私は新しい曲の楽譜を手にしてから何ヶ月もの間、五里霧中です。

楽譜が読めない。
読めても手が覚えない。
覚えても間違える。
弾けるようになっても音楽にならない。

先生は、それぞれの段階で少しずつアドバイスをくださいます。
ゴールまではずっと遠くても、今できることを教えてくださる。
私はそれが何に繋がるのか、分かったようでよく分からない。けれどやがて課題が克服できる。

自分が教える側になってみたら、教えてくださる先生の考えが、少し分かるようになった気がするんです。
するとさらに、
今は五里霧中の無我夢中だけれど、きっと出口はある!
発表会もきっとうまくできる!
ピアノももっと上手になれる!
っていう希望が持てるような気がします。

私も教える側に立つときは、希望とやる気を引き出せるレッスンを目指します!